発達障害もち薬剤師の随想録

発達障害を併発する薬剤師である筆者が、ADHD気質からの多くの経験から思う事をASD気質で書くブログです

昔の物の方が良かったなぁ!?

先日、所用で久しぶりに中央線の特急あずさに乗車して驚いた。全て新型車両E353系に置き換わっており、あの独特の形をした振り子式のスーパーあずさも廃止になっていた。

 

ニュースで知ってはいたが何せ中央線の利用など数年ぶりであり、実際に車両置き換えを目の当たりにするまでは現実として自分の身に迫らないものである。

 

小さい頃から中央線には馴染みがある。名古屋から長野方面に向かう中央西線の特急は大半が新型に置き換えられたとはいえ、臨時では悪名高い自然振り子式の国鉄特急車両を使っていたこともあり、せっかく食べた名物の駅弁は見事に逆噴射をしてトイレに帰ってしまった。

 

中央東線では当時は国鉄の重厚な車両が現役で走っていて、冬期はドアが半自動開閉のため自分で開ける時に小学生の力では鈍い銀色をした金属むき出しのドアは重くてなかなか開かなかった記憶がある。

 

私は鉄道マニアではないが、今の車両よりも国鉄時代の頃の車両が好きだ。私が生まれた頃に国鉄からJRになったので記憶のある年齢で国鉄に馴染みは全く無い。それでも岡山近辺などは昭和に戻ったかのような国鉄車両王国であり最高である。これも近い将来、見納めになることが決定しているので悲しいことではあるが。

 

そこに国鉄車両があれば思わず乗ってしまう。国鉄車両はとにかくウルサイし、上下に半端なく揺れて跳ねまくる、油や電気は食いまくると乗っていて快適性や経済性という言葉の存在を忘れるほどである。

 

しかし、あの重厚感がたまらない。その証拠に半世紀近くもしくはそれ以上を現役で走っているのだから昔の製品は本当に丈夫である。

 

その反面、今の車両はというと申し訳ないがどこか安っぽくて皆同じような顔で面白くないと感じてしまう。とにかく目に見えるところでコストダウンが目につく。それなりに快適ではあるが無味乾燥でいかんせん面白みにかける。そして寿命も短く10年ほどで車両更新のニュースが飛び込んでくる。

 

さながら癖があって欠点もあるが面白い人と、当たり障りは無いがどこか面白みに欠ける人間のようでもある。

 

話を戻して中央線特急あずさの新型車両であるE353系に乗って驚いたのは、非常に快適であったことだった。

 

それだけではない。全車指定席化により車内検札が省略されていた。3色のLEDで点灯表示するシステムにより検札が省略され、以前のように検札を意識して切符を携えて構える必要もなくゆったりとできる。

 

それに何より揺れがほとんどない。フルアクティブサスペンションにより余計な揺れを打ち消してくれている効果だというが、これには本当に驚いた。北陸新幹線の車両でもグランクラスにしか搭載されていない装置が、一介の特急車両のほとんど全てに搭載されているというのだからなお驚かされる。

 

時折天井からピシャっという謎の音が聞こえてくること以外は非常に静かであり、乗車中は終始快適でくつろぐことができた。特急料金を支払った甲斐があるというものである。

 

そして心の中にある思いが湧いてきた。

 

やはり今の車両の方が良いのだ、と。

 

時として昔を懐かしむことがよくある。あの頃は良かった、という感覚である。

 

しかし昔はというとタバコ王国であり、飲食店でも新幹線車内でも至るところで大人がタバコを吸っていて我々子供は我慢しろの一点張りであった。私が大学生の時でもわざわざ禁煙席を指定していた記憶がある。中高生の部活動であっても体罰が当たり前であり私もさんざんやられたが、旧軍に負けず劣らずの体罰が多感な中高生の身体にアザを作りまくっていた。

 

確かにお客さんにとってありがたいサービスは昔の方が充実していた気がする。しかし、住みやすさや快適性、人権などにおいてはやはり今の時代の方が良いと思えてならないのである。

 

(おわり)